ラーメン屋

昔よく行っていたラーメン屋さんがあった。
しかし、最近そのラーメン屋さんの前を通ったとき、もうそこにはラーメン屋さんはなかった。


そこのラーメンはグルメな私の舌を満足させる唯一のラーメンだった。
この店のラーメンの前では、ほとんどの店のラーメンが霞んで見えた。


そんなラーメンをもう食べられないのかと思うと、とても悲しい気持ちでいっぱいになった。


そんな時だ。
私は何気なくいつもと違うルートで帰宅していた。
ある店の横を通ると、嗅ぎ覚えのある匂いがした。
もしやと思い、その匂いのする方向に目をやった。


そこには、私が愛したラーメン屋さんがあった。


ただ単に、移転していただけだったのだ。



この事実に気づくのに掛かっていた歳月がとても空しくなる。。。